戦いすんで日が暮れても

まもなく70代に突入するおばさんの本音

戸籍がないって?

自己紹介に「生まれた時から波瀾万丈」と書いたのでこのことは先に記しておこうか‥。

母から聞いたことも多く、今となっては彼女にとって都合の悪いことは多分隠されていただろうからどこまで真実なのか‥思い出すのは小学校入学前のこと。映像のように浮かぶ。


真夜中、酔ってグデングデンになった母が布団に入ってきて「バカッ!バカッ!」と言いながら泣き叫ぶ。何事かと思うけれど幼かった私は眠さには勝てず、さほど動揺せず再び眠りに落ちた。


小学校入学の案内が来ない‥不思議に思った母が町役場に問い合わせてびっくり!私の出生届が出されていなかった‥つまり私はこの世に存在していないということになる。

今、私は平気な顔してこともなげに言うが結構、恐ろしいことだよね。万が一、私がこの段階で事故に巻き込まれて死んだり、行方不明になっても何事もなかったことにならないか?

警察も動いてくれない?民法だか刑法だかわからないがどうなってたんだろう?

ま、最終的にはこの世に生を受けて7年後ようやく私は日本人としてのアイデンティティを得られた。

ところでなぜそんなことが起きたのか‥。

私は現行民法上の非嫡出子、俗に言うところの私生児だ。母からは父の名前を聞いたことがあるが、お腹にいる時に死んだとか、実家に戻った時に妊娠に気づいたとか云々聞かされた。私自身、大人になってきて世の中のことが色々わかってくると母の話に矛盾があっても追及することはなかった。

自分でも不思議なくらいどうでも良いと思って生きてきた‥つもりだ。


ところでなぜ私の出生届は出されなかったか‥。

母は里に戻り私を出産。実家には祖母、新婚ほやほやの叔父夫婦、独身の叔父と叔母、そして私の兄ととにかく大所帯。母は私と10歳違いの兄を実家に預け働きに出ていて私を妊娠、里に帰ったというよくあるようなないような立場だったらしい。

当然、祖母や叔母たちにしたら私は望まれる子ではなく、文盲の祖母に出生届を託したが実際は母に内緒で提出されなかったわけだ。


母はそんなことも知らず生後7ヶ月の私だけを連れ、兄をまた祖母たちに託して働きに出る。

そんな母が真夜中泣いたのにはもう一つの理由があった。

それは機会があれば‥。